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名古屋高等裁判所 昭和24年(控)572号 判決

被告人

岩田鉱藏

主文

原判決を破棄する。

被告人を懲役壱年に処する。

但し、本裁判確定の日から参年間、右刑の執行を猶予する。

理由

前略

その第一点について。

原審は、被告人と原審相被告人谷口渡とを終始一貫して併合審理して分離した形跡がないから、分離の決定をしないのは、当然である。但し右両被告人に対し判決書は別個であるが、これは審理を分離した結果ではない。共同被告人につき、判決書は一通作成するのが通常であるが各被告人毎にその数に應じ判決書を作成するも違法でない。而も本件においては、原審相被告人谷口渡については、判決が確定し、所定の期間内に判決書謄本の請求がなかつたので、刑事訴訟規則第二百十九條により、原審が、谷口渡の判決につき、所謂調書判決書を作成したので、これは、適法であり、被告人と審理を分離した結果でないから、論旨は理由がない。

中略

同第五点について。

原審第三回公判調書中、一四一丁と一四二丁との間、一五〇丁と一五一丁との間に契印のないことは、所論の通りであるが、右公判調書には、右の外作成上の欠陷はなく、而も前後を通し、その連絡が明白であるから、右公判調書は無効でなく、右契印を欠く違法があつたからとて、判決に影響を及ぼすものでないので、論旨は、理由がない。

以下省略

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